訪問看護って奥が深い!

30代、ナース。独身で仕事にプライベートに好きなことばかりやっています。4年前から立ち上げに関わった訪問看護ステーションで働いています。訪問看護の素晴らしく奥が深い日常をお伝えします。

皆さんの優しさ〜スピリチュアルペイン〜

緩和ケア病棟で働いているとき、担当していたMさん
肝炎からの肝臓癌。いつも「どうしてこんなことになってしまったの」「もう終わりにしたい」を繰り返していました。

倦怠感や食欲不振はありましたが、痛みや呼吸苦などの身体症状はあまり強く出てはいませんでした。
Mさんが、どうしたら少しでも今を考えて過ごしてもらえるのか。
この辛さの訴えにどのように接していけばいいのか、私は悩みました。

その頃、ちょうどスピリチュアルケアがテーマの研修しました。

「あなたの支えは何ですか?」と聞いてみましょうと、先生が話されました。

直球な質問だなあ、と思いつつある日の日勤で、Mさんに聞いてみました。
「いま辛いことがたくさんあるMさんの支えになっているものは何ですか?」
「・・・皆さんの優しさ」

Mさんにとっては、看護師の関わりが支えになっているのかもしれない。
私たちも終末期の人の支えになれるのですね。

Mさんは身体的負担からポータブルトイレに移動するのも看護師2名で介助が必要になりました。
あるスタッフからはMさんの体の負担と、スタッフの人的確保の面からも尿のカテーテル挿入を提案されましたが、Mさんはカテーテルは拒否されていました。
しかし、夜勤3名しかいない状況で排泄の度に毎回2名で介助となると実際は、けっこう大変です。夜勤スタッフからも、担当の私からカテーテルの相談をしてみてはどうかと提案がありました。

Mさんのベッドサイドで排泄の話題を出すと、

「あなたと、そんなこと話したくない」
その時の私は、Mさんは医療処置のことじゃない、Mさんのことを話したいと思ってくれているのかなと感じて、カテーテルの話は終わりにしました。その後、何を話したか覚えていないのですが、その言葉が嬉しかったことをよく覚えています。

尿のカテーテルは使わずにギリギリまで2名でポータブルトイレへの介助をしてもらうように計画をたてました。

それ以来、利用者さんの気持ちが知りたい時に(関係性できていることが前提ですが…)聞いています。
「あなたの支えになっているものは何ですか?」
意外と皆さん、答えてくれますよ。