訪問看護での医療処置 胃ろうの管理1
訪問看護での医療処置について、注射や点滴以外だと何があるのかなと考えたときに、よく、医療処置の管理で依頼がくる内容では経管栄養でしょうか。
個人的には、経管栄養について一人一人がどう考えているのか、が一番大事とは思っていますが、今回は私が訪問看護でどのように管理に関わっているか、についてです。
まずは、経管栄養とは、口から食べるのが難しくなった時に鼻から管をいれて(経鼻胃管)、もしくは胃や腸に直接アクセスできるようなチューブ(胃ろうや腸ろう)を挿入して、そこから栄養を取ることで栄養管理を行う方法です。
胃ろうは嫌だけど、鼻から管を入れての栄養はやってほしいという意向を聞くことも多いのですが、経管栄養法の手段の違いなので、栄養を通すチューブを入れるときの体の負担の違いはあるけれど本質的には同じというのが私の認識です。もちろん、経鼻胃管にも胃ろうにもそれぞれに利点、欠点があります。
答えがないことが多く(急性期医療の現場などでは経管栄養が必要な場面もあるので)、各個人で考え選択したことが答え、と思いながら私自身も、本人やご家族がどのように考えてきて、どの選択をすると人生を全うできるのかを少しでも一緒に考えていくことが役割だと思って関わっていました。一つ一つの患者さんの選択に誠実に向き合わなければ、ご本人だけでなく家族、そして自分自身にも後悔が残ります。
実際に在宅での経管栄養に関しては、点滴のように看護師が実施する手技自体はほとんどありません。栄養剤や食事を入れる、お薬を入れる、などはご家族が行っているからです。もちろん、ご家族がその手順ができるようになるまでの指導は病院で習ってますが在宅でも継続して行っていきます。
胃ろうの周りを洗うのも、訪問の時には実施しますが、訪問がない日はご家族だったり、ヘルパーさんに洗ってもらいます。汚れてたら拭く、くらいでも大丈夫なことも。
訪問の時には、皮膚のトラブルがないかを見たり、洗う方法の相談、大事なことは栄養の量や形態が今のご本人の状態に合っているか、経管栄養投与を安全に出来ているか等をアセスメントして医師やご家族と検討すること。実際に手技を行うというより、全体を観察してアセスメントし、ご本人の状態にあった適切なケアをご家族が出来るように支援するのか看護師の役割だと感じています。これは経管栄養に限らずですが…。
胃ろうを造ることを希望しても、検査をしてみると胃や腸の位置関係によって造れないこともあり長期に鼻からチューブを入れて栄養をとっている方もいらっしゃいます。
胃ろうに対して世間からどちらかといえば批判的な風潮を感じて、胃ろう増設を希望するのに躊躇している方もいました。病院での医療者の態度に、胃ろう造ると希望するのがつらかったと涙されていました。あんなに考えて考えて決めたのに、と。
胃ろうがよい、わるい、という議論は私はしません。なぜなら、その人の体の状態、考え方、生活や家族環境、様々な要素が一人一人異なるからです。その方にとって、どのように生命に向き合い、食事にむきあい、生活に向き合うのがよいのか。それを家族と多職種と一緒に考えるしか答えはないなあ、と思っています。