訪問看護って奥が深い!

30代、ナース。独身で仕事にプライベートに好きなことばかりやっています。4年前から立ち上げに関わった訪問看護ステーションで働いています。訪問看護の素晴らしく奥が深い日常をお伝えします。

自宅で過ごすを本人と家族が選ぶ時 〜Yさんとの関わり 2/3〜

段々と通院が難しくなっていましたが訪問診療はまだ希望されませんでした。ご本人としては通院できているということが支えでもあったので、どのタイミングで訪問診療に切り替えるのか、私も迷いながら関わっていました。

ある朝、状態を聞くために電話したところ咳や便秘で調子が悪いとのこと。臨時で訪問することになりました。訪問すると、電話で話していたことを忘れていたり、今まで出来ていたことをするのが大変になってきているとの話がありました。

今だ、と思い、緩和ケア病棟の入院を考えるか、自宅で過ごす方向で調整してよいのか、Yさんがどこで過ごしたいと思っているかを聞きました。Yさんは出来るなら最期まで家で過ごしたいと。あとはご主人の気持ちを確認したいと。
ちょうど、ご主人が外出から戻られました。私は状況を説明しご本人は自宅で過ごしたいと希望しているところまでお話ししました。ご主人は、『はい、わかりました。』と。

そこでYさん、ベッドに寝たまま『そうじゃなくて、お父さんはどう思ってるの?!』と!
お父さん『入院のほうが安心だけど、お母さんの希望するようにするよ』
コワモテのお父さん、Yさんに言葉で詰め寄られてる感じでしたが、その言葉をきいてYさんは安心したように見えました。でもご主人は本人のいないところで、やはり入院のほうが安心と繰り替えされていました。
Yさん、ご主人に訪問診療に切り替えることを提案し、翌日の午後に医師の診療を開始してもらえることになりました。

その後は訪問診療が始まり、訪問看護の回数を増やしたり、介護保険を利用してリビング横にベッドを設置し、自宅で過ごすために環境調整していきました。
ご主人は、本人に色々と言われながら(笑)介護を頑張ってくれました。技術職らしく色々な介護用品を工夫したり、ウロストミー物品を私達が使いやすいように整理してくれたり。

ある時訪問したら、本人のベッドの横のパソコン前にご主人が座り、二人で写真をみていました。何をしているのか聞くと、遺影の写真を選んでいると。
けして暗い空気ではなく、むしろ明るく笑いながらです。写真を見ながら色々な思い出話しも出てきます。Yさんはきっとこうやって色んな準備をご主人としたかったんだなと思ったのと同時に、具合の悪い人を介護していくって生活なんだな、死を意識するのは特別なことではなくなっていくんだな、とその場面のことはとても印象に残っています。